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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
産褥晩期出血で入院治療を要した9例の検討
糸井 瑞恵, 尾本 暁子, 岡山 潤, 真田 道夫, 森本 沙知, 井上 万里子, 田中 宏一, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学周産期母性科
【目的】産褥晩期出血は,産褥早期の異常出血に比し頻度は少ないとされるが,ときに重篤な病態を呈することがある.今回,多量の産褥晩期出血をきたした症例について検討を行った.【対象・方法】2008年4月から2013年5月に当院で分娩し,産褥5日目以降に多量の出血をきたし入院管理が行われた症例を対象とし,臨床像を後方視的に検討した.【結果】対象期間中の院内分娩例(3122件)のうち9例(0.29%)が該当した.分娩後異常出血までの日数は,平均11.1日(中央値12日,範囲5〜23日)であった.出血時Hb最低値は3.5〜9.7g/dlであった.このうち輸血を要した例が2例(部分癒着胎盤1例,子宮復古不全1例)あり,どちらも単純子宮全摘術が行われた.輸血量はRCC/FFP/PCをそれぞれ24/10/10,12/22/0単位であった.この他止血の目的で,子宮動脈塞栓術(臨床的部分癒着胎盤1例),子宮内容除去術(臨床的部分癒着胎盤1例と子宮復古不全1例)が施行された.子宮収縮剤のみで止血が可能であった症例は3例(子宮復古不全)であった.残りの1例は,経腟分娩時に縫合止血した部位の末梢側からの出血であり,縫合を行って止血した.9例の最終診断は,部分癒着胎盤3例,子宮復古不全5例,腟壁裂傷1例であった.部分癒着胎盤3例は,いずれも分娩退院時に子宮内腔に凝血塊または胎盤の遺残を指摘されており,産褥出血をきたした症例であった.【結語】産褥晩期出血にも,低率ではあるが重篤な出血を来す症例が存在した.その1/3が部分癒着胎盤の症例であり,分娩後の退院診察時に子宮内に異常所見を認めた場合には注意深い観察が必要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
489-489, 2013
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