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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
帝王切開術後感染に合併した多発するバンドによる絞扼性イレウス
本庄 裕二郎, 村越 毅, 加藤 晴子, 小笠原 仁子, 大橋 まどか, 神農 隆, 松下 充, 成瀬 寛夫, 中山 理, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産科
【緒言】開腹術,腹腔内感染はイレウスの危険因子であり術後感染例での腹痛には注意すべきである.特に絞扼性イレウスでは腸管壊死が生じるため早期対応が必要である.【症例】29歳0回経妊,既往歴に特記事項なし.妊娠41週1日に胎児機能不全で緊急帝王切開術を施行.術後7日目から発熱,悪寒戦慄,腹痛,下痢嘔吐が出現.前医で抗菌薬治療開始したが改善なく,術後9日目に当院に救急搬送.来院時の体温38.4℃,腹部全体に自発痛,圧痛あり.膿性褐色帯下の流出あり.血液検査では白血球22350/μl CRP 34mg/dlと炎症反応の上昇あり.骨盤部造影CTでは腹水貯留,子宮の腹側・背側に被包化された低吸収の腫瘤を認めた.腹腔内膿瘍,腹膜炎の診断で入院当日に腹腔内ドレナージ術を施行.腹腔内膿瘍,子宮創部離開を認めた.デブリードマン,子宮創部縫合,腹腔内洗浄を行い,術後は抗菌薬治療を継続.経過は良好でありドレナージ術後16日目に退院.退院後経過は良好だったが,術後40日目から左側腹部痛が出現.頻回な嘔吐も伴い当院に救急搬送.腹部造影CTで腸管の著明な拡張を認めた.絞扼性イレウスの診断で同日に開腹癒着剥離術を施行.多数の索状物の癒着によるバンド形成,腸管の絞扼を認めたが早期病変であり壊死には至っておらず腸管は温存された.その後の経過は良好であり癒着剥離術後10日目に退院した.【結語】術後感染例は多数のバンドを形成する場合がありイレウスの危険性が高い.予防として十分な腹腔内洗浄,ドレナージを行うが確実な防止法はない.術後は患者説明を十分に行い,腹痛を認めた場合には絞扼性イレウスを疑う.造影CT,外科的治療を早期に行うことが腸管温存の可能性を高める.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
494-494, 2013
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