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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
広汎子宮全摘術後5か月目に十二指腸閉塞を来した子宮頸癌IIb期の一例
川崎 都雅, 山田 学, 津村 志穂, 滝戸 なほみ, 石井 康夫, 笠井 靖代, 木戸 道子, 宮内 彰人, 安藤 一道, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター
再発子宮頸癌の消化管浸潤は大部分が下部消化管に発生し,上部消化管浸潤は稀である.今回我々は,広汎子宮全摘後5か月目に十二指腸の閉塞と消化管出血を来した子宮頸癌の一例を経験したので報告する.
症例は54歳5経産.性器出血にて当院を受診.子宮頸部に6cm径の腫瘤を認め,生検で扁平上皮癌が検出された.子宮頸癌IIb期の診断で広汎子宮全摘術,両側卵巣卵管摘出術,骨盤リンパ節郭清術を行った.摘出物病理診断で切除断端は陰性であったが,子宮傍組織浸潤とリンパ節転移計2/59を認めた.後療法として放射線療法を全骨盤45Gyで行った.術後139日目に持続的腹痛と経口摂取不能のため入院した.腹部単純X線撮影で腸管拡張や鏡面形成を認めなかったが,腹部CTで傍大動脈リンパ節腫大と右腎下極付近の腫瘤を認めた.貧血増悪のため上部消化管内視鏡検査を行ったところ,十二指腸下降脚に外側から内腔を閉塞する粘膜下腫瘤を認め,生検で扁平上皮癌が検出された.子宮頸癌再発による十二指腸閉塞と診断した.貧血と消化管通過障害が持続するため,胃空腸吻合術を行ったが,術後も改善を認めず.十二指腸腫瘍に対して放射線照射を行ったが,症状の改善なく,再入院後73日目に死亡した.剖検で十二指腸に扁平上皮癌の浸潤を認めた.大腸粘膜にグラム陽性桿菌の増殖を認め,肝臓・肺でも桿菌の増殖が認められたため,直接死因は大腸の偽膜性腸炎から波及した菌血症と診断した.
子宮頸癌では稀な上部消化管浸潤に対して上部消化管内視鏡検査が診断に有用であった.腹部X線撮影で異常がなくても消化管の通過障害がある場合には,上部消化管通過障害を疑って精査する必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
497-497, 2013
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