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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))

【一般演題】
長期寛解後の再発診断に遺伝子解析が有用であった卵巣癌の一例


仲尾 岳大, 椙田 賢司, 小林 祐介, 春日 晃子, 高田 眞一, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科


 66歳,0経妊.46歳の時,前医で卵巣がん(ステージ不明)の診断で広汎子宮全摘術を施行され,追加治療なく定期的に婦人科に通院しなかった.20年後の66歳の時,血尿を主訴に当院泌尿器科を受診した.CTとMRIで径約6cmの骨盤内腫瘍を認め膀胱浸潤を疑った.膀胱鏡下腫瘍生検の病理組織診断はadenocarcinomaであり尿路系腫瘍は否定的であった.卵巣がん再発疑いの診断で泌尿器科からのコンサルタントを受け,婦人科で治療することになった.治療方針は,術前化学療法の施行後の腫瘍摘出術施行で,開腹所見により膀胱全摘術も考慮することとした.初診から全身精査を終えた1か月後よりTC療法を4コース施行した.CTで膀胱後面と尿管周囲の腫瘤がやや増大しておりPDと診断し,PI療法に変更したが1コース施行中に呼吸困難が出現したため中止とし,ノギテカンに変更し3コース施行した.CTでPDと診断し,ゲムシタビンにレジメン変更する計画をした.この時突然患者本人より,右腋窩に径約7cmの表面が潰瘍化した腫瘤の存在を告げられた.生検の結果,carcinomaで転移もしくは浸潤であり,原発巣の確定は困難との報告であった.右腋窩腫瘍の摘出術は困難であった.その後連絡不通になり約2ヶ月後に歩行困難の状態で緊急入院した.右腋窩腫瘍は増大し腫瘍表面の潰瘍化が進行し,CT上骨盤内腫瘤の増大と膀胱腟瘻を認めた.全身状態悪化により緩和医療のみの対応を継続し,当科初診から約1年4ヶ月目に永眠した.剖検では右腋窩腫瘍は10×8cm,骨盤内腫瘍は膀胱・腟・直腸に瘻孔を作り一塊となっていた.前医検体と当院検体の遺伝子解析から,野生型の腫瘍細胞のみが転移した可能性が考えられ20年目の再発と診断した.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 500-500, 2013


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