 |
|
  |
|
         
|
<< 学会誌へ戻る 【緒言】成熟嚢胞奇形腫には二次的に体細胞性腫瘍が発生することがあり，それは成熟奇形腫の悪性転化として知られている．その大部分が扁平上皮癌でありその他の組織型の発生報告は稀である．今回われわれは移行上皮癌への悪性転化を伴った成熟嚢胞奇形腫という非常に稀な一例を経験したので報告する．【症例】43歳0G0P前医より10cm大の卵巣腫瘍および多発子宮筋腫のため手術目的に当科紹介．骨盤MRIでは卵巣腫瘍内は脂肪成分とhair ballで充満しており悪性を示唆する充実部分は同定されなかった．術前CA19-9 62.4U/ml CA125 12.5U/ml SCC 3.3ng/mlであった．成熟嚢胞奇形腫，子宮筋腫の術前診断のもと，開腹手術を施行．術中腹腔内に播種や腹水を認めず腹腔洗浄細胞診は陰性だった．子宮は筋層内筋腫が多発．左卵巣腫瘍はダグラス窩へ嵌頓していたが浸潤傾向はなく皮膜破綻せずに左付属器切除術および子宮全摘術を施行．右付属器は肉眼的に正常のため温存した．摘出標本の肉眼所見では腫瘍内部に脂肪塊からなる充実部分と毛髪を認め，内腔面に一部乳頭状変化を認めた．病理組織所見では嚢胞内の充実部分に脂肪組織や骨組織を含んでおり成熟嚢胞奇形腫と考えられた．内腔面の乳頭状変化を認めた領域では異型上皮が多層化し乳頭状に増生しておりgrade3相当の移行上皮癌と考えられた．以上より移行上皮癌への悪性転化を伴った成熟嚢胞奇形腫と診断された．【結語】非常に稀な移行上皮癌への悪性転化を伴った成熟嚢胞奇形腫の一例を経験した．本例の経過について文献的考察をふまえ報告する． 関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 501-501, 2013 |
||
|
一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内 TEL：03-3288-0993 FAX：03-5275-1192 E-mail：kantorengo@jsog-k.jp Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会 |