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<< 学会誌へ戻る 境界悪性ミューラー型混合上皮性乳頭嚢胞腺腫（MEBMM）は種々の上皮性成分が混在する境界悪性腫瘍であり，非常に稀な卵巣腫瘍である．そのうち扁平上皮成分の増殖が優位なものをMEBMM with squamous overgrowth（MEBMMSO）という．MEBMMSOは子宮内膜症性嚢胞を背景にMEBMMを経て生じると報告されており，ほぼ100%の確率で子宮内膜症を発生母地とするという報告もある．しかし，今回我々は子宮内膜症を併発しないMEBMMSOの1例を経験したので報告する．症例は59歳，2経妊2経産，閉経50歳．腹痛を主訴に前医を受診し，左卵巣腫瘍を指摘されて当院を受診した．経腟超音波断層法で約8cm大の左卵巣多房性腫瘍を認めた．骨盤MRIで内部に粘液性成分を含む8×6cm大の左卵巣多房性腫瘍を認め，隔壁の一部に肥厚を認めた．PETでは異常集積を認めなかった．腫瘍マーカー（CA125，CA19-9，CEA）は正常範囲内であった．以上より，左卵巣嚢腫の疑いで単孔式腹腔鏡下左付属器切除術を施行した．術後病理組織診断はMEBMMSOだった．子宮内膜症病変は認められなかった．境界悪性腫瘍であったため，進行期確定のために腹式単純子宮全摘術，右付属器切除術，大網切除術を施行した．腹水細胞診は陰性であり，その他腹腔内に播種病変は認めず，stage1c（b）,pT1c（b）NxM0であった．MEBMMは比較的若年で発症し，予後良好なものが多いが，MEBMMSOはやや高齢で発症し，骨盤内に進展し，予後不良な経過をとることがあるため，今後慎重な経過観察をおこなっていく．病理組織学的に，本症例は子宮内膜症病変を介さずに発生したMEBMMSOの可能性が考えられた． 関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 505-505, 2013 |
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