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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
胎児重症貧血をきたした抗E抗体陽性血液型不適合妊娠の一例
加藤 宵子, 峰 優子, 山本 恵, 端本 裕子, 永田 智子, 斉藤 圭介, 石川 雅彦
大和市立病院産婦人科
妊娠初期より抗E抗体価が高値を示し,胎児中大脳動脈収縮期最大血流速度(MCA-PSV)計測にて胎児貧血の評価を行い管理していたが,妊娠37週で胎児重症貧血をきたした症例を経験したので若干の考察を加え報告する.症例は32歳,1回経妊1回経産.前回妊娠・出産時には不規則抗体を含め異常は指摘されなかった.妊娠初期のスクリーニングで抗E抗体256倍と高値であり,4週間毎の抗体価の測定と,2週間毎のMCA-PSVを含む胎児超音波所見をもとに管理を行った.妊娠32週で抗体価512倍と上昇していたが,妊娠36週までMCA-PSVは1.50 Multiples of the Median(MoM)未満を推移しており胎児貧血は否定的と考えられ,また胎児発育は良好でありNST上もreassuring patternであった.妊娠37週に2日前からの胎動減少を訴え,超音波にて胎児心拡大,MCA-PSV 110cm/秒と高値,NST上sinusoidal pattern,高度遅発性一過性徐脈を認め,胎児貧血の疑い,NRFSの診断で高次機関へ母体搬送,同日緊急帝王切開術を施行された.新生児は2360g,Apgar score 1/4点(1/5分)でありNICU入室となった.全身蒼白でありHb 2.9g/dlの重症貧血を認め,直接クームス試験にて強陽性であることより血液型不適合による溶血性貧血と診断された.近年MCA-PSV計測による非侵襲的な胎児貧血の評価が広く行われているが,その評価や管理については更なる検討が必要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
506-506, 2013
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