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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
胎児期に長管骨変形を認め,出生後良好な経過をたどった低ホスファターゼ症の1例
日下田 大輔1, 星野 正道1, 京谷 琢治1, 高木 剛1
群馬県立小児医療センター産科
低ホスファターゼ症(hypophosphatasia)は骨組織の石灰化障害と血清および組織中のアルカリホスファターゼの低値を特徴とする.発症時期により分類され症状や重篤度は異なる.早期に発症するほど重症で致死率が高いため,周産期型は生存がほぼ困難であるとされる.我々は,胎児期に四肢短縮を主訴に紹介され骨形成異常を疑い出生後に低ホスファターゼ症と診断された症例を経験したため報告する.症例は30歳2経妊1経産,前回分娩は妊娠41週での自然分娩であり児に骨折既往は認めなかった.また,本人・夫に骨折の家族歴は認めなかった.妊娠19週より大腿骨長の短縮を認め妊娠27週に四肢の長管骨短縮を認めたため妊娠29週に当院に紹介受診になった.胎児超音波検査で,両側大腿骨・両側上腕骨・右橈骨・尺骨に骨折と思われる屈曲変形を認めた.骨形成不全症が疑われたため,本人・夫の同意のもと,胎児CT検査を施行し,両側大腿骨・上腕骨・前腕骨の彎曲を認めた.胎児の成長は良好であり外来管理を行った.妊娠40週3日に陣痛発来し自然分娩となった.児は出生後,小児科入院となった.精査の結果,ALPが65U/Lと低値,尿中ホスホエタノールアミンが521.2nmol/mgCrと高値であり,全身骨レントゲン撮影で長管骨の骨折,肋骨の短縮を認め,低ホスファターゼ症を疑い遺伝子検査を施行した.ALPL遺伝子の異常を認め,常染色体劣性遺伝形式の低ホスファターゼ症と診断し現在は3ヶ月おきに経過観察している.遺伝形式と病状からは病型が不確定であり,今後の児の成長と合わせて病型を再検討していく.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
508-508, 2013
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