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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
胎児腎上部嚢胞性腫瘤の2例
有賀 治子1, 高橋 佳代1, 大口 昭英1, 永山 志穂1, 桑田 知之1, 相原 敏則2, 前田 貢作3, 小野 滋3, 谷口 周平4, 河田 浩敏5, 松原 茂樹1, 鈴木 光明1
自治医科大学産婦人科1, 自治医科大学放射線科2, 自治医科大学小児外科3, 自治医科大学新生児科4, 自治医科大学病理診断部5
【緒言】胎児腎上部嚢胞性腫瘤では,嚢胞状副腎神経芽腫,副腎嚢胞,副腎出血などが疑われるが,中でも嚢胞状副腎神経芽腫と副腎出血は画像上類似した所見を示すことが多い.今回我々は,胎児腎上部嚢胞性腫瘤の2例を経験した.【症例】症例1.21歳,初産婦.妊娠34週3日に胎児右腎嚢胞のため当院へ紹介された.超音波検査では,右腎上部に22×17mmの嚢胞を認め,同時にlarge-for-date(LFD),臍帯浮腫,羊水過少が見られ,MRIでは,副腎由来の内容に出血を含む嚢胞状腫瘤が最も疑われた.妊娠38週6日,緊急帝王切開術で4,550gの男児を出生した.右副腎由来の嚢胞状腫瘤の出血が最も考えられたが,嚢胞性神経芽腫も否定できないことから,日齢19,副腎腫瘍摘出術が行われた.病理検査は副腎嚢腫であった.症例2.28歳,初産婦.妊娠36週2日に胎児左副腎腫瘤のため当院へ紹介された.超音波検査では,左腎上部に33×29mmの一部高輝度を示す嚢胞を認め,MRIではfluid-fluid levelを認めたことから,副腎出血が最も疑われた.妊娠39週6日,2,494gの女児を経腟分娩した.嚢胞状副腎神経芽腫の可能性が否定できないため,外科的手術が予定されている.両患者より,発表についてのICを口頭で得た.【結語】今回我々が経験した胎児腎上部嚢胞性腫瘤2例は,共に,画像所見上は副腎由来の内容に出血を含む嚢胞状腫瘤と考えられたが,画像だけでは嚢胞状副腎神経芽腫と副腎出血を鑑別できない.このため,我々の施設では,積極的に手術で腫瘤を摘出することを患者のご家族にお勧めしている.当院で経験した新生児腎上部嚢胞性腫瘤5例の手術・病理所見も合わせて,新生児腎嚢胞性腫瘤の手術可否について考察したい.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
509-509, 2013
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