|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
当センターにおける胎児水腫症例の検討
堀越 義正, 石坂 瑠衣, 加茂 亜希, 河村 隆一, 西口 富三
静岡県立こども病院周産期センター
【はじめに】胎児水腫は全身性の浮腫と腔水症を主徴とする病態で,その原因は多岐にわたるが,予後不良となりその対応に苦慮することも多い.今回,当院で経験した胎児水腫症例を対象に,発症原因ならびに転帰について後方視的に検討した.
【対象】妊娠22週以降の胎児水腫症例19例
【結果】
1)19例はすべて非免疫性胎児水腫で,PB19ウイルス感染例もみられなかった.
2)心血管系異常に伴う水腫症例は7例で,うち,Ebstein奇形などのTRによるものが6例,そして心房粗動が1例あった.前者は胎児発育の待機方針で対処したが,妊娠30-33週で水腫をきたして娩出するも新生児死亡に至っている.一方,後者はジギタリスを用いた胎内治療を施行し,出生後のDCで治癒を得ている.
3)胸郭内腫瘤性病変は3例で,CDH,肺分画症,そして心嚢内奇形種の各1例存在した.前2者はそれぞれPROM及び胎児機能不全のため31週,26週で娩出に至ったが,ともに新生児死亡となった.また,心嚢内奇形種は左心低形成のため看取りとなった.
4)乳糜胸腹水症例は2例あり,ともに予後良好である.
5)染色体異常(21trisomy)に伴う水腫症例は5例存在し,うち,生後TAMが判明し治療したケースは1例(乳児死亡),残り4例は31週での娩出生存例を除き,27-29週での出生となり,新生児死亡となっている.
6)原因を同定できなかったケースは2例で,ともに多発奇形で胎内死亡または新生児死亡となっている.
【結論】当院での胎児水腫症例は,19例中15例でほとんどが治療の甲斐無く死亡に至っている.TRに伴う心不全症例については,生後治療を考慮し,水腫発症前に娩出するなどの対応が必要かもしれない.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
510-510, 2013
|