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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
Marfan症候群合併妊娠の1例
赤枝 俊, 兵藤 博信, 秋山 瑞紀, 小野 健太郎, 原田 寛子, 秋谷 文, 林 良宣, 齊藤 理恵, 樋田 一英, 塩田 恭子, 山中 美智子, 百枝 幹雄
聖路加国際病院産婦人科
Marfan症候群は心血管系,呼吸器,眼,骨格などに徴候を呈する常染色体優性遺伝の全身性結合組織病であり,フィブリリンなどの遺伝子変異によるものと考えられている.生命予後は大動脈解離などの心血管イベントにより大きく左右されるが,妊娠は循環血漿量の増大もあり,大動脈解離のリスクが増大する期間となる.今回Marfan症候群女性の妊娠分娩管理の経験を報告する.37歳3経妊0経産.母が大動脈解離で突然死した際,Marfan症候群の可能性を指摘されていた.30歳時に精査を受け,心エコーでValsalva径は3cm程度だったが,同時に精査した妹はValsalva径2.5cmから4年後に大動脈解離で突然死している.あらためて精査したところ,Valsalva径は39mmで,2年ほど変化がないところで今回の妊娠となった.妊娠8週よりbisoprololを投与.妊娠初期から定期的な心エコーを行い,大動脈拡張を認めなかった.また,大動脈弓以遠はMRIで観察し,拡張を認めなかった.Valsalva径は40mm未満であったが,分娩は帝切の方針とした.妊娠37週0日で陣痛発来し,緊急帝切で分娩,麻酔導入時に一時的に血圧上昇が見られたが,脊椎・硬膜外麻酔で安全に遂行できた.児は2306g,Apgar score 8(1')9(5').術後14日目まで入院管理を行い,血圧コントロールのためlosartanを追加投与した.心エコー及び造影CTで大動脈の明らかな拡張などを認めなかった.当科・循環器内科・麻酔科・小児科などの各専門科と協力し,安全に妊娠分娩管理を行うことでができた.多少の文献的考察も含めて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
511-511, 2013
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