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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
妊娠12週から22週未満における死産の胎盤による原因検索から治療について
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【目的】妊娠12週から22週における流産は後期流産と言われる.多くの場合,突然の出血や破水で搬送されるが死産となる例がある.原因については,12週未満と同様,染色体異常が多いとされてきた.確かに20年前はそうであったかもしれないが最近の胎盤検査では,炎症細胞浸潤が目立つ.今回私は,12週から22週における死産の胎盤検査(人工妊娠中絶は除く)を再検鏡し,原因の検索を行い次回の妊娠に対する考えをまとめた.【材料】34例の後期流産の胎盤を用いた.【成績】16例の絨毛膜羊膜炎(CAM)あるいは脱落膜炎の合併を認めた.7例の幹絨毛血管の閉鎖を認めた.2例の常位胎盤早期剥離,1例の慢性早期剥離を認めた.【考察】20年前は後期流産のCAMの合併率は大変低値であった.婦人科外来で若年のHPV感染が増え,妊婦外来で円錐切除術後の妊婦が増えているのと同様の現象かも知れない.CAMや脱落膜炎を減らすためには,妊婦検診の初期スクリーニングで陽性者がいたらすぐに治療が始められなければならない.経口のフラジール錠や酪酸菌製剤も考慮されるべきだと思う.また,炎症は繰り返すことが多いので,前回の妊娠・分娩歴だけでなく,胎盤も取り寄せ,自院の病理医と検討しなければならない.また幹絨毛の血管閉鎖は,末梢絨毛の成熟の悪さ,虚血性病変による機能不全が原因で幹絨毛の閉鎖,再疎通などが合併する.血液検査だけでなく,理学所見は重要だが,前回の妊娠の妊娠歴,胎盤病理の報告書も大切である.今後日本中に胎盤病理が広がり各施設間で患者の治療について検討されることを希望する.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
516-516, 2013
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