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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
当院における未受診・飛び込み分娩後の症例の検討
高橋 幸子, 鈴木 元晴, 仲神 宏子, 佐藤 加寿子, 梶原 健, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 亀井 良政, 石原 理
埼玉医科大学病院産婦人科
【目的】妊婦健診未受診(以下,未受診妊婦)や飛び込み分娩となった症例の家庭環境と児童虐待を起こす家庭環境は類似していることが知られている.つまり,このような症例を減らす事が児童虐待の予防につながると考えられる.当院では出産後の養育に問題が生じると予想された症例について,妊娠中から埼玉医科大学こども養育支援チーム(SCAP)で検討し地域行政との連携に努めてきた.しかし,未受診妊婦やその分娩症例の場合,この連携が希薄なため分娩前後の対応に苦慮することが多い.そこで,当院で経験した未受診・稀受診妊婦,飛び込み分娩症例の情報を抽出し検討を行った.【方法】2011年4月から2013年3月に当院で扱った未受診・稀受診妊婦,飛び込み分娩の症例について,家庭環境・婚姻の有無・新生児合併症・1ヶ月健診受診率などの30項目について調査した.収集した情報は倫理的配慮に基づいて扱った.【結果】未受診・稀受診妊婦,飛び込みの症例は1251例中9例(0.72%)であった.9例中3例は産婦人科のない施設で飛び込み分娩となり搬送されてきた症例であった.入籍していたものは3例で,うち1例は家庭内暴力(DV)を認めた.分娩様式は1例が帝王切開,8例が経腟分娩であった.新生児合併症は腸閉塞1例,新生児黄疸1例,新生児敗血症1例であった.NICU管理を要した症例は2例であった.8例は産後1ヶ月健診を受診していた.【考察】当院における未受診妊婦や飛び込み分娩で出生した児の経過追跡は,最長で生後半年までである.しかし,妊婦健診未受診は胎児に対する虐待であり,地域で監視してゆく必要がある.今後も地域行政と密接な連携をとり,こういった症例を未然に防ぐ方策を検討していきたい.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
518-518, 2013
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