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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
産婦人科と家庭医療科の連携による神経内分泌がん終末期,在宅緩和医療への移行を円滑に行えた1症例
綱分 信二1, 鳴本 敬一郎2, 津田 修治3, 城向 賢1, 飯田 智子1, 津山 梓1, 杉村 基2, 嵯峨 こずえ1
菊川市立総合病院産婦人科1, 浜松医科大学産婦人科家庭医療学講座2, 菊川市立総合病院家庭医療科3
高齢がん死社会を迎え,がん患者に対する在宅緩和ケアを適切な時期に導入する必要性が認識されてきている.在宅緩和ケアの導入にあたっては,患者側と医療者側の信頼関係を構築することは重要であり,そのために初回治療から在宅緩和ケアへの一貫した診療が不可欠である.今回,総合病院産婦人科での子宮体がん患者の再発治療後の病院診療から地域家庭医療の一部としての在宅緩和医療に円滑に移行することができた1例を報告する.症例は60歳,2経妊0経産,59歳時子宮頸部腺癌IB2期の術前診断に対し,初回治療として広汎子宮全摘,両側付属器摘出,子宮・卵巣付属・基靭帯リンパ節廓清術を他院にて施行.病理検査において,子宮体下部に見られた粘膜下筋腫の局所に高度な神経内分泌癌を伴う高度類内膜腺癌G3と診断され,術後進行期分類はIIIA期であった.神経内分泌癌に対してイリノテカン・シスプラチン療法,次いでドキソルビシン・シスプラチン療法を受けたが,いずれも喉頭浮腫と喘息発作が出現したため,希望により化学療法を中止.その後,再発が確認され,利尿剤と胸水・腹水穿刺にて管理していたが,自宅に近い場所での診療を希望され,当院当科へ紹介受診.さらに在宅での終末緩和医療を希望されたため,産婦人科医師並びに家庭医療科医師の連携のもと同医療が行われ,2か月後永眠された.本院では家庭医療科医師は産婦人科診療を共有しているため,患者や家族からの信頼関係を維持し希望に沿った終末期医療を提供することができた.婦人科がん初回治療,再発治療から在宅緩和終末医療への一連の流れにおける適切な管理方法並びに注意点について考察を行う.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
518-518, 2013
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