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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
油性造影剤を使用した子宮卵管造影による一過性の甲状腺機能低下についての検討
山口 和香佐, 俵 史子
俵IVFクリニック婦人科
【はじめに】甲状腺機能低下症は,不妊や流早産,児の異常や発達障害に関与すると言われている.また不妊検査で一般的な子宮卵管造影検査(HSG)で,ヨード剤を含む油性造影剤によって一過性の甲状腺機能低下が起こることが指摘されている.当院では,HSG前後に甲状腺機能を評価し,甲状腺疾患専門医と連携を図り,厳密に管理する体制をとっている.油性造影剤を使用した子宮卵管造影によって多くが一過性のTSHの上昇を認めたため,臨床的予後について後方的に検討した.【対象・方法】平成24年8月から平成25年1月に油性造影剤を使用したHSGを行った77例を対象とした.HSG前,1か月後,2か月後に,TSH,F-T4を測定し甲状腺機能評価を行った.【結果】HSG後にTSHの上昇がみられたのは77例中73例であった.HSG前,1,2か月後の3点評価した20例中14例が1か月後にTSHのピークを認めた.20例中6例は2か月後にも上昇傾向にあった.F-T4が基準値以下となったのは77例中1例のみであった.77例中16例に妊娠が成立し,うち13例が妊娠継続し,3例は初期流産となった.継続例のうち,8例はHSG前後いずれにおいてもTSHは2.5μU/ml以下であった.4例はHSG1〜2か月後はTSHが上昇傾向にあったが,妊娠時は下降していた.のこる1例は,専門医紹介し,慢性甲状腺炎の診断で甲状腺ホルモン内服治療中であった.流産3例とも無治療で,妊娠時のTSHが4.0μU/ml以上とHSG後も上昇傾向にあった.【考察】HSGによる一過性の甲状腺機能低下であってもTSHの値が高いものは流産になる可能性があると思われ,厳格なコントロールが必要であると考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
520-520, 2013
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