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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
腟中隔切除にて月経困難が改善し生児を得た重複子宮の一例
竹内 穂高, 柿坂 宜孝, 池田 枝里, 藤井 由起子, 高木 緑, 戸田 文香, 山田 香織, 高木 靖
諏訪赤十字病院産婦人科
子宮奇形はミューラー管由来の臓器発育異常により引き起こされるとされ,腟や腎臓など泌尿生殖器の形成異常を伴うことがある.今回,初経時より続く長期の月経困難の原因が腟中隔による腟閉鎖の症状と判明し,腟中隔切除術により月経困難が改善し,自然妊娠から生児を得た重複子宮の症例を経験したので報告する.【症例】31歳,0回経妊.初経時より月経困難を認め,前医にて対症療法で経過観察されていた.月経時に発熱を認め,精査加療目的に当院紹介となった.月経時の腟鏡診や超音波検査,子宮鏡検査,骨盤部MRI画像検査により,腟中隔による右側の不完全な腟閉鎖のため留血腫を形成する重複子宮と診断した.また腎盂尿路造影検査では同側の腎臓・腎盂・尿管が描出されず,腹部CT画像検査で右腎無形成が確認された.治療として腟中隔切除術を施行し,右側腟腔を開放したところ月経困難症状の消失を認めた.術後5年が経過し,右子宮内への自然妊娠を確認した.明らかな切迫流早産徴候を認めることなく妊娠経過し,妊娠38週2日に胎位異常の適応で選択的帝王切開術を施行した.児は2645gの女児,Apgar Score 8/9点で,母児ともに術後経過良好であった.【考察】月経困難症例には子宮奇形が原因となり得るものがある.腟中隔による片側腟閉鎖を伴う場合には,月経中の詳細な超音波検査やMRI検査が有用で,正確な診断による適切な外科的治療で軽快する場合がある.近年,月経困難症の治療には,ホルモン療法を中心とした多くの治療選択肢があるが,漫然とした長期薬物療法に陥らないよう,本症も念頭に置く必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
520-520, 2013
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