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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
Pseudo-Meigs症候群を合併した卵巣甲状腺腫の1例
羽生 裕二, 木村 博昭, 秋山 秀文, 亀井 未央, 平敷 好一郎, 神山 正明
国保君津中央病院産婦人科
卵巣甲状腺腫は成熟した甲状腺組織を含む奇形腫の一つであり,奇形腫の1.5-2.7%を占め,多くは良性である.Meigs症候群は,女性骨盤内腫瘍と胸腹水を伴い,腫瘍摘出により胸腹水が消失する疾患であり,発生機序は腫瘍自身によって産生された腹水がリンパ系を介したり,横隔膜の小孔を通って胸腔内に移行すると考えられている.原発腫瘍が卵巣線維腫・莢膜細胞腫・顆粒膜細胞腫・Brenner腫瘍の場合をtrue-Meigs症候群,それ以外をpseudo-Meigs症候群という.今回,右卵巣甲状腺腫によるpseudo-Meigs症候群の症例を経験したので報告する.症例は75歳,3経妊2経産.20XX年3月より下腿浮腫,呼吸困難が出現,近医でのCTで胸腹水貯留と右卵巣腫瘍を認めたため,4月当院紹介となった.胸腹水は黄色透明で細胞診は陰性,右卵巣は単純CTで充実部位とその内部に高吸収域の嚢胞性部分を認めた.嚢胞性部分はMRIでT1W高信号,T2W低信号であった.PET-CTで有意な集積は認めず,Meigs症候群が疑われた.6月両側付属器切除術施行,右卵巣は60×103×33mm大,嚢胞性部分と充実性部分の2房性腫瘍であった.嚢胞性部分は油脂や毛髪を含む成熟奇形腫,充実部分は細胞異型に乏しい甲状腺組織より構成され,右卵巣甲状腺腫と診断した.その後の経過で胸腹水の消失を認め,右卵巣甲状腺腫によるpseudo-Meigs症候群と診断した.卵巣甲状腺腫によるMeigs症候群は1.4%と報告される.卵巣甲状腺腫の画像所見は特徴的であり,充実性卵巣腫瘍の鑑別の一つに挙げられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
523-523, 2013
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