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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
MRIでChronic Expanding Hematoma像を認めた卵巣腫瘍茎捻転の一例
岡田 裕美子, 秋野 亮介, 中里 佐保子, 東 美和, 宮上 哲, 安水 渚, 軽部 瑞穂, 折坂 勝, 安藤 直子, 佐々木 康, 大槻 克文, 長塚 正晃
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
Chronic Expanding Hematomaは1908年,Reidらが提唱した疾患概念で,1か月以上にわたり緩徐に増大する血腫とされている.外傷や術後などに多く,様々な部位に発生する.今回我々は,下腹部腫瘤を主訴に来院されMRIでChronic Expanding Hematoma像を呈した卵巣腫瘍茎捻転の一例を経験したので報告する.症例:70歳代 1回経妊1回経産.既往歴:60歳代 白内障手術.現病歴:嘔気,鼻汁を主訴に近医受診.胃腸炎の診断を受けたが,腹部触診にて小児頭大の腫瘤を触知したため精査・加療目的に当院紹介.経腟超音波検査で右付属器に14cm大の充実性腫瘤を認めた.子宮頸管細胞診,子宮内膜細胞診ともに異常は認めず,腫瘍マーカーはCEA,CA19-9,CA125,CA72-4いずれも正常であった.MRIでは右卵巣腫瘍内部にT1強調像で高信号域,充実性部分は拡散強調像で高信号,腫瘍の造影効果を認めた.CTでは播種や転移は見られなかった.卵巣癌を疑い腫瘍根治術の方針となった.術中所見として腫大した右卵巣の捻転,壊死を認めた.壊死が強かったため,迅速病理診断では評価が困難であった.腹水細胞診でClassIII一部異型細胞を認めたため,子宮全摘術+両側付属器切除術+大網部分切除術を施行.病理診断は右卵巣腫瘍系捻転による出血壊死であったことから骨盤部MRIを再評価したところ,CTで石灰化,MRIT2強調画像で内部にモザイク状を呈するというchronic expanding hematomaの所見に一致していた.今回,悪性腫瘍を思わせる画像を呈するchronic expanding hematomaという貴重な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
524-524, 2013
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