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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
臍形成術を施行した臍部子宮内膜症の1例
三宅 友子1, 林 雅裕2, 平岡 毅大1, 竹内 真1, 山下 亜紀1, 中山 敏男1, 谷川 道洋1, 武知 公博1
公立昭和病院産婦人科1, 公立昭和病院形成外科2
【緒言】特異部位子宮内膜症は骨盤外に発生する子宮内膜症であり,消化管や尿路,肺,皮膚などに発生する.なかでも皮膚子宮内膜症はまれであり,婦人科手術の瘢痕組織に発生することが多い.今回臍部に自然発生した皮膚子宮内膜症に対し臍切除術,臍形成術を施行し良好な経過を得たので報告する.【症例】38歳,0経妊0経産.6年前に両側卵巣子宮内膜症に対し下腹部正中切開による卵巣嚢腫摘出術を施行し,この際の創は臍部より離れていた.術後より低用量ピルの内服を開始した.1年半前より臍部の赤色腫瘤を自覚,半年前より疼痛を伴うようになり皮膚科を受診した.生検により臍部子宮内膜症と診断されGnRHaが開始されたが増大傾向となり当科を紹介された.手術の方針となり以下の様に臍切除術,臍形成術を施行した.まず臍部の病変を,切除マージンをとり環状に皮切し腹膜を含めて垂直に切除した.続いて術者を形成外科医に交代し,臍欠損に対し右下方に横転皮弁を形成し皮弁を反時計回りに回転させ先端を陥入させ臍窩を形成した.病理組織診断では,臍部皮下組織から真皮において間質を伴う内膜組織を多巣性・小島性に認めた.術後経過は順調である.【考察】自然発生の皮膚子宮内膜症の多くは臍部に発生するとされている.臍部は瘢痕組織のためリンパ流などの障害が生じやすく,臍部子宮内膜症の発生機序はリンパ行性,あるいは血行性に子宮内膜が転移すると説が考えられている.治療は薬物療法が症状のコントロールに有効とする報告もあるが,根治には手術療法が必要となる場合が多くその際には本症例のように形成外科医と協力した臍再建術が有効であると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
524-524, 2013
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