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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
坐骨神経痛を契機にMRIで診断された深部子宮内膜症
野口 翔平1, 大谷 清香1, 安達 博1, 渋谷 伸一1, 村越 毅1, 中山 理1, 鳥居 裕一1
聖隷浜松病院産婦人科1, 聖隷浜松病院周産期科2, 聖隷浜松病院不妊内分泌科3
【緒言】子宮内膜症は卵巣や骨盤腹膜,時に肺や腸管に発症することが知られている.今回,月経時に増悪する坐骨神経痛を呈し,MRIが診断に有効であった深部内膜症を経験した.【症例】47歳,38歳に子宮腺筋症でリュープロレリンによる治療歴有り.当院初診3年前から右坐骨神経痛を発症し,足をひきずるようになった.近医の整形外科では原因は特定されず,1年間のマッサージ治療を受けた.その後ペインクリニックでプレガバリンの内服や神経ブロックを施行したが,症状改善は得られず,原因精査および加療目的に当院整形外科へ紹介された.来院時,右坐骨結節付近に2-3cm大の弾性硬で圧痛を伴う腫瘤が触知され,圧迫により痛みが増強した.右足背から足底の感覚低下,右アキレス腱反射の消失を認めた.MRIでは,右臼蓋背側に,脂肪抑制T1強調像で複数の点状高信号を認め,T2強調像で不均一な高信号を示す,造影効果のある軟部組織の増生が認められた.問診で右下肢痛が月経時に増強することが分かり,婦人科疾患が疑われ当科へ紹介された.病歴と身体所見,画像結果から右坐骨結節に発症した子宮内膜症の可能性が高いと判断し,リュープロレリンで治療を開始した.治療開始後3ヶ月で疼痛はNRS8から2程度まで回復し,歩行がスムーズに出来るようになった.【結語】坐骨結節に発症する子宮内膜症の報告は少ない.本症例では,症状と月経の関連を指摘出来たこと,およびMRIが診断に有効であった.また一般的な子宮内膜症と同様にGnRHaでの治療が奏効し,数年来の疼痛を改善できた.生殖可能な女性の坐骨神経痛の中に子宮内膜症を原因とし,治療により症状の軽快を得られるものが存在すると考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
525-525, 2013
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