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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
プレガバリン(リリカTM)にてコントロールできた難治性子宮内膜症疼痛の一例
宮部 勇樹, 望月 亜矢子, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
プレガバリン(リリカTM)は末梢神経障害性疼痛に用いられるカルシウムチャネル結合性の疼痛治療薬である.子宮内膜症による疼痛はときに難治性であり,ホルモン療法に抵抗性であることもある.その場合,手術療法が疼痛コントロールの手段として有用であるが,手術施行まで待機時間があったり,また手術が非効果的である場合もある.今回ホルモン療法が非効果的であり,プレガバリンにてようやくコントロールが可能であった子宮内膜症性疼痛の一例を経験した.(症例)44歳.前医で子宮筋腫を指摘され,月経痛,慢性骨盤痛を主訴に手術目的に当科紹介となった.経腟超音波では最大4cmを始めとする複数の子宮筋腫を認めた.卵巣は正常であった.内診では子宮の可動性はやや悪く,子宮頸部後面に著明な圧痛を認め,臨床的には子宮内膜症も診断した.手術は腹腔鏡下子宮全摘術(TLH),子宮内膜症病巣切除術を4ヶ月後に予定した.疼痛が著しかったため,術前にGnRHアナログ(酢酸ブセレリン)を開始した.しかし疼痛は改善せず,非ステロイド性鎮痛薬などを多用したが不十分であり,プレガバリンを150mg/日開始した.開始後疼痛は軽減(VAS scale10→2)し,ようやく疼痛コントロール可能となった.その後腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)と子宮内膜症病変(子宮頸部後面腹膜,両側仙骨子宮靭帯一部)を切除した.術後よりプレガバリンは中止,疼痛はほぼ消失した.(考察,結論)手術療法で子宮全摘術,子宮内膜症性病変を切除したところ,疼痛は軽快したため,今回の慢性骨盤痛の主座は子宮内膜症によるものと思われた.プレガバリンは子宮内膜症性疼痛コントロールの一助となる可能性が示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
525-525, 2013
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