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<< 学会誌へ戻る 【緒言】骨盤内腫瘍は術前の病理組織学的診断が困難であることが多く，術前診断は画像診断や腫瘍マーカーによりなされるが，確定診断には開腹手術が必須である．今回，卵巣腫瘍と術前診断し開腹手術を施行したところ，後腹膜腔に発生した粘液性境界悪性腫瘍であった一例を経験した．後腹膜腔内に発生する粘液性境界悪性腫瘍は非常に稀であり，文献的考察を加え報告する．【症例】65歳，0経妊0経産，子宮筋腫及び卵巣子宮内膜症性嚢胞にて腹式単純子宮全的術，片側付属器切除術の既往あり．腹部膨満感を主訴に近医を受診．画像所見上20cmを超える多房性嚢胞性腫瘤を認め，卵巣腫瘍の疑いで当院紹介受診．充実成分は明らかではなく，腫瘍マーカーも正常値であった．卵巣腫瘍の術前診断で開腹手術を施行したところ，腫瘍は後腹膜腔に存在していた．卵巣は見当たらなかった．後腹膜腫瘍摘出術を行った．術後病理組織学的検査では，腫瘍は粘液を有する高円柱上皮に被覆された嚢胞性病変で，壁の一部は上皮の増生を伴った乳頭状発育を呈し，Mucinous borderline tumorと診断された．Intestinal typeとendocervical typeの両方の上皮が見られた．術後は後治療は行わず経過観察中であるが，術後4ヶ月再発徴候は見られていない．【考察】後腹膜腔内に発生する粘液性境界悪性腫瘍は極めて稀であり，これまでに約30例が報告されているのみである．術後経過についても不明な点が多く，今後慎重に経過観察を続けていく必要がある． 関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 527-527, 2013 |
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