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【原著】
予防的術前尿管ステントおよび大腿動脈シース留置を行った全前置胎盤8症例における入室から執刀までの所要時間についての検討
谷口 公介, 渡辺 典芳, 左合 治彦
国立成育医療研究センター周産期センター産科
全前置胎盤の帝王切開術における大量出血時の子宮全摘出術の際に有用な尿管ステント留置,大動脈バルーンオクルージョン(balloon occlusion;BO)・子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization;UAE)のための大腿動脈シース留置を新たに導入する過程につき検討することを目的に当施設の自験例の検討を行った.2010年12月からの全前置胎盤8症例で術前尿管ステント,大腿動脈シース留置を行った.入室から執刀までの時間(麻酔導入・尿管ステント留置・大腿動脈シース留置)に関して後方視的に検討を行った.対象症例では,硬膜外麻酔併用脊椎麻酔の上,膀胱鏡下両側尿管ステント留置,透視下に右大腿動脈シース留置の後に帝王切開術を施行した.手術室から執刀までの合計時間は70.1(42〜142)(mean, range)分,尿管ステント留置時間は25.6(11〜46)(mean, range)分,大腿動脈シース留置時間は24.9分(12〜44)(mean, range)であった.母児含め合併症は認めなかった.今回の8症例では手術室入室から執刀までの合計時間という点では症例1〜8への一貫した短縮は確認されなかった.しかし症例の蓄積により,関連各科医師およびコメディカルの連携・各科毎に行った工夫に改善が認められ,術前各手技の間の準備がスムースに行えるようになった.
Key words:total placenta previa, placenta accreta, preventive catheterization
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
539-544, 2013
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