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【原著】
臍帯動脈血pH7.0未満で分娩となった35症例の検討
小田上 瑞葉1), 青木 茂1), 今井 雄一1), 持丸 綾1), 笠井 絢子1), 望月 昭彦1), 倉澤 健太郎1), 奥田 美加1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター1), 横浜市立大学附属病院産婦人科2)
妊娠33週以降に臍帯動脈血pH7.0未満で分娩となった35例を対象としてその原因の分析を行うとともに,Base Excess(BE),アプガースコアとの関連,及び出生後3年経過した時点での児の予後との関連について検討した.原因は常位胎盤早期剝離が40.0%と最多で突発的に発症する疾患が多かった.BEが低値であるほど臍帯動脈血pH,アプガースコア5分値が有意に低値となり神経学的後遺症が多いという傾向がみられた.またアプガースコア5分値7未満の症例は,アプガースコア5分値7以上の症例に比して有意にアシドーシスの程度が高度で神経学的後遺症が多かった.出生後3年経過した時点での神経学的後遺症を認めたのは6例であり,後遺症を認めなかった29例に比して有意にアシドーシスの程度が高度でアプガースコアが低値であった.臍帯動脈血ガスpH7.0未満の分娩のすべてを未然に防ぐことは困難であるが,その予後を少しでも改善させるための努力として迅速な急速遂娩を行える体制を作るのみでは限界があり,常位胎盤早期?離に関しては母親学級などを通して,その発症を疑うような症状が出現した際には早期に医療機関を受診するように啓発することが重要である.
Key words:umbilical cord blood gas, fetal acidosis, asphyxia, base excess, apgar score
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
567-574, 2013
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