|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【原著】
再発卵巣癌・腹膜癌に対するペグ化リポソーマルドキソルビシンの投与量別の治療効果と有害事象に関する検討
海野 洋一1)3), 錦見 恭子2), 鈴鹿 清美1), 大崎 達也1), 伊澤 美彦3), 田中 尚武1)
千葉県がんセンター婦人科1), 千葉大学医学部付属病院産婦人科2), 国保松戸市立病院産婦人科3)
プラチナ製剤抵抗性の再発卵巣癌23例および腹膜癌4例に対し,PLD単剤による化学療法を施行した.PLDの1回投与量は,40 mg/m2または50 mg/m2で投与を開始した.投与量別の治療効果および有害事象の発現頻度について後方視的に検討した.また,血清CA125値の治療前後の推移と治療効果判定との相関性について検討した.初回投与量はA群:40 mg/m2 13例,B群:50 mg/m2 14例であった.効果判定はPR 7例,SD 6例,PD 14例であった.奏功率(CR+PR/全例)25.9%(A群:30.8%, B群:21.4%)であった.腫瘍コントロール率(CR+PR+SD/全例)は48.1%(A群:53.8%, B群:42.9%)であった.PFSの中央値はA群:4.6か月,B群:2.7か月であった.奏効率・腫瘍コントロール率・PFSにおいて両群間に統計学的有意差はみられなかった.手足症候群の発生頻度は,A群よりもB群に多い傾向がみられた(p=0.17).Hb減少の発生頻度は,A群よりもB群に有意に多くみられた(p=0.04).PR症例における血清CA125値は,PLD投与2コース目以降に減少することが示された.PLDの標準投与量は50 mg/m2だが,40 mg/m2でも同程度の治療効果が得られ,有害事象は軽減される可能性が示唆された.
Key words:pegylated liposomal doxorubicin, ovarian cancer, peritoneal cancer, CA125
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
575-581, 2013
|