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【原著】
上皮性卵巣癌pT1症例における系統的リンパ節郭清の治療的意義の後方視的検討
野村 秀高, 岩瀬 春子, 阿部 彰子, 谷口 智子, 坂本 公彦, 尾松 公平, 加藤 一喜, 竹島 信宏
がん研究会有明病院婦人科
目的早期の上皮性卵巣癌において,系統的リンパ節郭清を行うことの治療的意義につき組織型を中心として検討することを目的とした.対象と方法2000年1月から2011年12月までの間に当院において初回治療を行った上皮性卵巣癌765例のうち,FIGO分類pT1期の239例を対象とし,後方視的検討を行った.239例中,リンパ節郭清を施行しなかった群(Nx群)は56例,リンパ節郭清を施行し,転移を認めなかった群(N0群)は173例,リンパ節転移を認めた群(N1群)は10例であった.結果リンパ節転移を認めたのは明細胞腺癌5例,漿液性腺癌4例,類内膜腺癌1例で,組織型毎の転移率はそれぞれ4.6%, 17.4%, 3.1%であった.系統的リンパ節郭清施行群の5年生存割合はN0群で88.5%, N1群で100%, Nx群で88.4%であった.年齢,substage,組織型,系統的リンパ節郭清の有無,術後化学療法に対して単変量解析を行なったところ,組織型(明細胞腺癌)のみが独立した予後因子であった.漿液性腺癌に関しては,多変量解析において術後化学療法が無再発期間を延長する因子であった.結論当院で治療した症例の解析では,系統的リンパ節郭清の治療的意義は明らかではなかった.治療的意義を明らかにするためには多施設による前方視的研究が必要であると考えられた.
Key words:ovarian cancer, early stage, systematic lymphadenectomy
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
583-589, 2013
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