|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【症例報告】
妊娠中に自然気胸を発症したBirt-Hogg-Dubé症候群合併妊娠の一例
牛久 妙, 中村 学, 日下田 大輔, 諏訪 裕人, 宮本 純孝, 西村 俊信, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
Birt-Hogg-Dubé症候群(以降:BHDSと略す)は気胸,腎腫瘍,皮膚病変を主症状とする稀な遺伝性疾患である.繰り返す気胸の精査から最終的に遺伝子検査により診断に至る.今回BHDSにより気胸を繰り返し,胸腔ドレナージを施行しつつ分娩した症例を経験したため報告する.症例は6回の気胸既往を持つ36歳の初産婦である.妊娠38週で中等度気胸を発症した.胸腔ドレーン挿入にて気胸の改善を確認後,胸腔ドレーン留置下にオキシトシン点滴にて分娩誘発を行い,経腟分娩に至った.分娩中の気胸再発はなく,胸腔ドレーンを抜去し,産後7日目に退院となった.しかし産後約1か月で気胸を再発した.後日遺伝子検査にてBHDSの診断が確定した.女性の気胸は稀であり,繰り返す場合は本疾患を疑い精査を行うこと,診断時は気胸の再発を考慮し,積極的治療と注意深い経過観察が重要である.
Key words:pregnancy, spontaneous pneumothorax, Birt-Hogg-Dubé syndrome
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
625-629, 2013
|