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【症例報告】
妊娠中に発症し,PSLによる加療が著効したリウマチ性多発筋痛症の1例
田吹 梢, 佐治 晴哉, 小林 奈津子, 堀田 裕一朗, 板井 俊幸, 佐々木 麻帆, 石寺 由美, 服部 信, 平吹 知雄, 白須 和裕
小田原市立病院産婦人科
リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia rheumatica以下PMR)は,肩や上腕,大腿などの四肢近位筋の疼痛とこわばり,発熱,倦怠感などを呈する炎症性疾患である.発症は50歳以上が多く,妊娠中を含めた若年者に発症した報告は稀である.今回我々は,妊娠中に発症し,PSL(prednisolone)による加療が著効したPMRの1例を経験したので報告する.症例は24歳,0経妊0経産.妊娠21週より突然四肢末梢に緊満感を自覚した.その後,大腿,上腕の筋痛や筋力低下が急速に進行し,妊娠23週には独歩困難となった.当院神経内科を受診し,炎症反応の上昇と臨床症状よりPMRと診断された.妊娠24週からPSL 15 mg/日の内服加療を開始したところ,内服開始4日目より劇的に改善傾向を示し,独歩可能となった.以降,筋痛の消失にしたがい,PSL 10 mg/日へ減量し,症状増悪することなく同量投与にて分娩まで維持する方針となった.妊娠39週4日に経腟分娩後は更にPSLを漸減し,分娩約5か月後には離脱した.現在まで再燃を認めていない.PMRが妊孕性のある年代に発症することは稀であるが,PSLの著効が期待できるだけに,血中CK値上昇を伴わない近位筋優位の筋痛を呈した場合には,筋痛症状の変化に注意しつつ,本疾患を念頭においた上で適切に鑑別診断を行いPSLによる加療に繋げることが肝要であると考えられた.
Key words:Polymyalgia rheumatica, Pregnancy, PSL(prednisolone)
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
673-678, 2013
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