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【症例報告】
子宮頸部多発囊胞性病変の取り扱いについて〜2症例の経験から〜


谷口 華子1), 古屋 充子2), 時長 亜弥1), 今井 雄一1), 長谷川 哲哉1), 佐藤 美紀子1), 沼崎 令子1), 宮城 悦子1), 平原 史樹1)
横浜市立大学附属病院産婦人科1), 同 病理診断科2)


 子宮頸部囊胞性病変として最小偏倚腺癌(以下MDA:minimal deviation adenocarcinoma),分葉状頸管腺過形成(以下LEGH:lobular endocervical glandular hyperplasia)の鑑別は困難である.しかし予後は大きく異なるため,術前鑑別を行い適切な治療介入を行うことが必要である.今回,当院で経験した子宮頸部多発囊胞性病変の2症例をもとに両者の鑑別と取扱いを検討した.症例1は43歳,0妊0産.不正性器出血を主訴に来院した.MRI画像,診断目的に施行した子宮頸部円錐切除術で子宮頸部高分化型腺癌を疑う所見であり準広汎子宮全摘術を施行した.病理所見よりLEGHを背景とした子宮頸部上皮内腺癌の診断であった.症例2は61歳,3妊3産.子宮頸部円錐切除術で子宮頸部腺過形成の所見であったが,長期持続する水様性帯下により子宮摘出とした結果,最終診断がLEGHであった.2症例はMRI画像で子宮頸部に多発する囊胞を認め,細胞診や組織診で軽度核異型を示し,子宮頸部円錐切除術による主病変の診断を行い,治療方針を決定した.実際は,画像所見と生検病理診断での鑑別はLEGHとMDAの両者が併存している可能性もあるため困難である.個々の症例で慎重な評価を要し,適正な術前評価により過剰治療や過小評価を避けるため慎重な検討が必要である.

Key words:MDA, LEGH

関東連合産科婦人科学会誌, 50(4) 679-685, 2013


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