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【症例報告】
妊娠中にイレウス解除術を行い満期まで妊娠継続し得たイレウスの1例
横内 妙, 村越 毅, 和形 麻衣子, 加藤 晴子, 野坂 舞子, 小笠原 仁子, 武藤 はるか, 新垣 達也, 大谷 清香, 三島 隆, 矢野 紘子, 大橋 まどか, 塩島 聡, 神農 隆, 松下 充, 松本 美奈子, 安達 博, 渋谷 伸一, 成瀬 寛夫, 中山 理, 鳥居 祐一
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター周産期科
妊娠中のイレウスは保存的治療で改善しない場合,迅速な外科的介入を要する.しかし,介入と同時に帝王切開を行なうべきかどうかに明確な基準はない.今回,妊娠中にイレウス解除術を行い満期産児を得た症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.症例は37歳,3経妊0経産.妊娠18週常位胎盤早期剝離で帝王切開,右卵管妊娠で腹腔鏡下右卵管切除の既往があった.妊娠27週6日に右側腹部痛と嘔吐で受診した.腹部超音波断層検査でイレウスと診断し,絶飲食,補液,胃管挿入で経過をみたが改善せず妊娠28週2日にイレウス管を留置した.妊娠28週4日にBacterial translocationからの敗血症を疑い外科的治療を行った.小腸が一塊になった場所を認めこれより口側の小腸に拡張と浮腫を認めたが壊死や穿孔は認めなかった.妊娠子宮による視野の妨げがなく癒着による閉塞が完全に解除され,術後敗血症に対しても抗菌薬投与でコントロール可能と判断し,帝王切開をせず妊娠を継続した.術後経過は良好で妊娠32週4日に退院し妊娠38週2日に既往子宮手術のため予定帝王切開を行った.外科的介入を要するイレウス合併妊娠の場合,腹腔内を十分に観察した上で,イレウスの原因が除去できれば妊娠継続が可能である.
Key words:ileus, pregnancy
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
703-709, 2013
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