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【症例報告】
根治放射線治療前に腹腔鏡下卵巣移動術を施行した子宮頸癌2症例
高橋 伸卓, 米田 聡美, 久慈 志保, 田中 晶, 安部 正和, 武隈 宗孝, 平嶋 泰之
静岡がんセンター婦人科
本邦では子宮頸癌1b1期から2b期に対して行う治療として,広汎子宮全摘術を行うことが多い.一方欧米では根治放射線治療も積極的に行われ,治療効果に関しては同等であるとされている.当院では両方の治療方法を提示し,患者選択としている.放射線治療を選択する20〜40歳代の患者は卵巣機能温存を希望することもあり,その場合は放射線治療前に照射野外に移動する必要がある.当院では卵巣温存は1b1期,扁平上皮癌の症例を対象としている.2002年9月から2013年3月までに施行した広汎子宮全摘術は383症例,同時期に卵巣移動術を施行した症例は63症例であった.広汎子宮全摘術と同時に施行した症例は57例であり,根治放射線治療前に卵巣移動のみ施行した症例は6例であった.6例中2例に対して腹腔鏡下で卵巣移動術を施行した.手術時間は腹腔鏡下では100分と99分であり,開腹での4例は平均55分(48〜68分)であった.腹腔鏡下の方が手術時間がやや長かった.腹腔鏡下での卵巣移動術は開腹と比較してやや時間がかかるが,高度な技術は必要とせず,低侵襲に行うことが可能である.低侵襲な治療を望む患者に提示する選択肢の一つであると考えられた.
Key words:Cervical cancer, ovarian transposition, laparoscopy
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
725-729, 2013
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