|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【特集】
ヘリカルCTによる骨三次元像により出生前診断したAntley-Bixler症候群の一例
奥谷 理恵, 田中 宏一, 岡山 潤, 真田 道夫, 森本 沙知, 中田 恵美里, 井上 万里子, 尾本 暁子, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学医学部附属病院周産期母性科
胎児骨系統疾患には様々な病態があり,出生前の鑑別は容易でない.最近,ヘリカルCT検査のデータを再構築することで骨格の三次元(3D)像の把握が可能になっている.この方法を用いて,Antley-Bixler症候群を出生前に診断した症例を報告する.妊娠23週時の超音波断層法でクローバー状頭蓋を指摘され,妊娠28週時に当院に紹介された.超音波断層法で胎児前頭部の狭小化,眼球突出,眼間距離の拡大を認めたが,胎児発育やそのほかの胎児異常は認めず,初診時には頭蓋縫合早期癒合症とその症候群という診断にとどまった.妊娠31週時に胎児ヘリカルCT検査を実施し,短頭・顔面骨低形成・上腕骨頭癒合を認めたことからAntley-Bixler症候群と診断し,本疾患は骨折等を伴う疾患ではないことから,計画的経腟分娩の方針とした.妊娠39週2日,自然破水・陣痛発来し,2,484 g,アプガースコア8/9点の女児を経腟分娩した.児はCTでの評価の通り,頭蓋骨早期癒合・顔面骨低形成・上腕骨橈骨癒合を認めAntley Bixler症候群の特徴を有していた.児の遺伝子検査は実施していない.胎児ヘリカルCT検査を用いた骨3D構造の把握は,正確な胎児診断を可能にし,分娩管理の方針決定に有用と考えられた.
Key words:Antley-Bixler Syndrome, intrauterine three-dimensional helical computer tomography
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
745-749, 2013
|