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【特集】
出生前に発見された胎児縦隔リンパ管腫に対するMRIおよび超音波検査の有用性
金野 潤, 土山 史佳, 三谷 穣, 小川 正樹, 牧野 康男, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
胎児期の縦隔腫瘍では,ex-utero intrapartum treatment(EXIT)の適用を考慮した適切な管理を行うため,正確な診断が求められる.妊娠34週時に超音波検査およびMRI検査で縦隔発生のリンパ管腫と診断した症例を経験したので報告する.症例は34歳,初産婦.近医での妊娠33週の超音波検査で,胎児胸郭内に囊胞が認められ,当院へ紹介となった.当院の超音波検査でも同様に心臓の頭側に径3 cm大の三房性の囊胞が認められた.囊胞への流入血管や充実成分は認められなかった.胎児水腫の発症リスクを考慮し妊娠34週に周産期管理目的に入院した.MRI検査においても囊胞内出血は認められず,リンパ管腫が推定された.羊水量や胎児発育は正常で,合併奇形は認めなかった.肺の過膨張を認めないことから,囊胞による気管圧排は否定的と考えられた.経時的な超音波検査並びに胎児心拍数モニタリングにて周産期管理を行う方針となった.妊娠37週に2,800 gの男児を,正常Apgarで自然分娩した.MRI検査で囊胞と周囲組織との癒着が疑われ,手術による囊胞摘出は困難と判断され,OK-432注入による硬化療法が開始された.生後5か月時点で加療中である.胎児縦隔囊胞は,周囲器官への腫瘍圧排の可能性を考慮し,MRIと超音波検査による正確な診断と経時的な評価が重要であることが示唆された.
Key words:fetal mediastinal lymphangioma, magnetic resonance imaging, prenatal diagnosis, ultrasonography
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
763-767, 2013
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