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【特集】
胎児超音波にて頭蓋内出血を疑い出生後,頭蓋内血管腫と診断された1例
伊藤 陽介, 窪 麻由美, 酒井 華乃, 関根 花栄, 高水 藍, 長井 咲樹, 加藤 紀子, 中原 万里子, 平ア 真由子, 上山 和也, 白井 洋平, 鈴木 千賀子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学浦安病院産婦人科
妊娠36週妊婦健診時,胎児の左右非対称な水頭症を認め頭蓋内出血を疑い,出生後頭蓋内血管腫と診断された1例を経験した.症例は38歳,1回経妊,1回経産.前医にて人工授精で妊娠成立し10週2日に当院初診となった.妊娠経過は順調であったが,36週妊婦健診時に胎児超音波にて胎児の左右非対称な脳室拡大を伴う児頭大横径の拡大した胎児水頭症を認めた.妊娠34週の妊婦健診時に胎児超音波異常はなく急激な進行の経過より頭蓋内出血を疑い,MRI施行し脳室内には血腫を疑われるT1強調像にて淡い高信号を呈する部分がMonro孔付近まであり,水頭症の閉塞機転となっている可能性が示唆されたため,同日緊急帝王切開により児娩出となった.出生後日齢13日で施行された脳内視鏡生検にて血管腫の診断であった.胎児期の超音波にて脳室拡大を伴う頭蓋内腫瘤を認めた場合,非常に稀ではあるが鑑別診断として頭蓋内血管腫も考慮する必要があると思われた.今回我々は,このような稀な症例の臨床経験を得たので,ここに報告する.
Key words:brain neoplasm, prenatal ultrasonography, hydrocephalus, hemangioma
関東連合産科婦人科学会誌, 50(4)
769-773, 2013
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