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【原著】
当院における卵黄囊腫瘍6例の検討
久田 裕恵1), 高野 浩邦1), 飯田 泰志1), 高橋 一彰2), 小曽根 浩一1), 江澤 正浩1), 田部 宏1), 佐々木 寛1), 岡本 愛光2)
東京慈恵医大附属柏病院産婦人科1), 東京慈恵医大附属病院産婦人科2)
卵黄囊腫瘍は胚細胞腫瘍の悪性腫瘍に分類され,卵巣悪性腫瘍に占める割合は0.86%と稀な腫瘍で腫瘍マーカーのAFPが高値を示すことが特徴である.好発年齢は10〜30代で妊孕性温存が問題となる.今回,我々は2004〜2011年までに当院で経験した卵黄囊腫瘍6例について報告する.年齢中央値は31歳であった.術前AFP値は術前に卵黄囊腫瘍も疑われ検査された5例いずれも高値であった.臨床進行期はIc期が4例,IIIc期2例であった.5例に妊孕性温存手術を行い,1例は妊孕性温存希望がなかったため標準手術を行った.術後化学療法は全例で施行し,2例はPVB(シスプラチン+ビンブラスチン+ブレオマイシン)療法5コース,4例はBEP療法3コースを行った.いずれの症例も現在まで再発を認めていない.妊孕性温存手術を行った5例全てで化学療法後に月経が再開し,1例は2回の妊娠,分娩を行った.卵黄囊腫瘍は1970年代の報告によると3年生存率13%1と予後不良であったが,シスプラチンの登場,さらにはBEP療法の導入により近年の報告では5年生存率94%2と予後が改善しているものの,未だ治療法が確立されたとは言えず,今回当院で経験した卵黄囊腫瘍6例を,最新の文献的考察とともに報告する.
Key words:Endodermal Sinus Tumor, BEP Protocol, Fertility Preservation
関東連合産科婦人科学会誌, 51(1)
5-11, 2014
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