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【原著】
当院で経験した異所性妊娠33例の超音波像と臨床経過に関する検討
木下 紗林子, 森嶋 かほる, 山本 泰廣, 高村 将司, 曾根 献文, 手塚 真紀, 野村 香央里, 坂巻 健, 小林 浩一
社会保険中央総合病院産婦人科
異所性妊娠は,全妊娠の1%と言われ,一般的には血清hCG 1,000〜2,000 IU/L以上で子宮腔内に胎囊(GS)が確認できない場合に疑われ,診断・治療目的に手術が考慮される1.今回,平成18年から22年までに当院で経験した異所性妊娠33例を,以下の超音波像で分類,子宮外に(1)GS様の超音波像を認めるもの,(2)GS及び胎児心拍を認めるもの,(3)mass様の超音波像を認めるもの,(4)超音波所見を得られないものとし,血清hCG値,腹腔内出血量などを比較した.(1)は10例で,血清hCG値は6,638±5,419.3(Mean±SD)IU/L,腹腔内出血量は123±52.6 mlであった.(2)は3例で,血清hCG値は8,499±1,301 IU/L, 腹腔内出血量は93.3±95 mlであった.(3)は12例で,血清hCG値は4,677±3,571 IU/L, 腹腔内出血量は668.7±499 mlであった.(4)は8例で,血清hCG値は2,819±986 IU/L, 腹腔内出血量は281.9±385.8 mlであった.以上よりmass様の超音波像を認めるものは平均血清hCG値が一番低いにもかかわらず術中出血量が多いことがわかった.異所性妊娠の診断は血清hCGの値だけでなく,超音波像,臨床症状を総合的に判断するべきと考えられた.
Key words:Ectopic pregnancy, Transvaginal ultrasonography, Intraperitoneal hemorrhage
関東連合産科婦人科学会誌, 51(1)
19-25, 2014
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