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【症例報告】
著明なリンパ節腫大を伴った卵巣混合型胚細胞腫瘍の1例


深川 裕一郎, 澁谷 裕美, 高木 崇子, 長内 喜代乃, 西ケ谷 順子, 百村 麻衣, 松本 浩範, 小林 陽一, 岩下 光利
杏林大学医学部産科婦人科学教室


 悪性胚細胞腫瘍は全悪性卵巣腫瘍の5%に満たない稀な腫瘍群で,中でも混合型胚細胞腫瘍はその内の7%といわれる.今回,我々は著明な多発リンパ節腫大を伴う混合型胚細胞腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は21歳,未経産.左下腹部腫瘤感を主訴に前医受診し,経腹超音波検査で巨大骨盤内腫瘤を認めて当院へ紹介となった.内診上,左付属器に超双手拳大の腫瘤を触知し経腟超音波にて左卵巣腫瘍と思われる腫瘤性病変を認めた.血液検査ではLDH:1,921 IU/l,AFP:118 ng/ml,CA125:357 U/mlと上昇を認めた.MRI検査で骨盤内に約20 cm大の充実性腫瘤を認め,CT検査にて鎖骨下までの多発リンパ節腫大を認めた.悪性リンパ腫の鑑別目的に精査するも確定診断には至らず,悪性リンパ腫か悪性胚細胞腫瘍を疑い,手術の方針としたが,21歳未経産であることから妊孕性温存術を施行した.最終病理組織診断はDysgerminomaおよび未熟奇形腫(G3)の混合性胚細胞腫瘍であった.術後BEP療法を施行し,リンパ節腫大は著明に縮小,腫瘍マーカーも速やかに低下し,BEP療法後10か月後の現在まで経過している.本症例のように若年でリンパ節腫大を伴う卵巣腫瘍を認めた場合,卵巣原発の悪性腫瘍に加え悪性リンパ腫も鑑別に挙げて検査・診断を早期に行う必要があり,外科的切除も積極的に行い確定診断をつける必要があると考えられた.

Key words:dysgerminoma, mixed germ cell tumor, lymph node swelling, immature teratoma, malignant lymphoma

関東連合産科婦人科学会誌, 51(1) 27-32, 2014


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