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【症例報告】
術前に強く悪性転化を疑った卵巣成熟囊胞性奇形腫の一例


角田 陽平1), 山田 隆1), 中西 一歩1), 伊藤 麻利江1), 村川 裕子1), 山本 晃人1), 永野 玲子1), 渡辺 美千明1), 新井 悟2), 平野 孝幸2), 羽鳥 努2), 米山 剛一1), 竹下 俊行3)
日本医科大学千葉北総病院女性診療科・産科1), 同 病理部2), 日本医科大学付属病院女性診療科・産科3)


 成熟囊胞性奇形腫は全卵巣腫瘍の約20%と頻度が高いがその悪性転化は約1%程度と比較的稀である.今回,術前に成熟囊胞性奇形腫の悪性転化を強く疑った症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は45歳,未経妊,不正出血を主訴に近医を受診した.経腟超音波検査にて左卵巣囊腫を指摘され精査加療目的に当科紹介となった.画像所見で最大径12 cmの成熟囊胞性奇形腫を認めた.さらに,SCC, CEAの上昇があったことや造影効果のある壁肥厚,拡散強調画像で同部の高輝度所見が見られた.以上から,術前に成熟囊胞性奇形腫の悪性転化を強く疑った.術中迅速病理診断で壁肥厚部が扁平上皮癌への悪性転化と診断されStaging laparotomyを施行した.病理検査で成熟囊胞性奇形腫の腺扁平上皮癌への悪性転化と診断された.術後進行期はpT1aN0M0であったため,後療法は行わず外来にて経過観察している.術後13か月で再発は認めていない.成熟囊胞性奇形腫の悪性転化の診断指針や治療指針は現時点で定まっていないが40歳以上でSCCの上昇,腫瘍径10 cm以上は悪性転化の可能性を考慮すべきである.画像検査では腫瘍壁の肥厚や同部の造影所見に加え,拡散強調画像での高輝度所見は悪性転化の可能性を示唆する所見と考えられた.また,肉眼的に腫瘍の充実部分を中心とした壁の引きつれは悪性を強く示唆する所見の一つと考えられた.

Key words:Malignant transformation of mature cystic teratoma

関東連合産科婦人科学会誌, 51(1) 39-43, 2014


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