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【症例報告】
筋層浸潤の程度判定に苦慮した腺筋症合併子宮体癌の一例


谷川 輝美1), 的田 眞紀1), 阿部 彰子1), 野村 秀高1), 山本 阿紀子1), 岡本 三四郎1), 尾松 公平1), 川又 靖貴1), 加藤 一喜1), 馬屋原 健司1), 本山 悌一2), 竹島 信宏1)
がん研有明病院婦人科1), 同 病理部2)


 症例は44歳,0経産.4年前から不正性器出血があり,MRI検査で子宮体癌が疑われ当院を受診した.MRI検査所見では筋層1/2以上の浸潤が疑われていた.PET-CT検査ではリンパ節転移および遠隔転移を認めなかった.病理診断はEndometrioid adenocarcinoma, G1であった.高度肥満のため単純子宮全摘術および両側付属器切除のみを行いリンパ節廓清は行わなかった.摘出標本の肉眼所見では腺筋症があるため筋層浸潤は不明瞭であった.病理診断で内膜面からの筋層浸潤は表層にとどまったが,腺筋症内に異型腺管があり筋層1/2以上まで及んでいた.しかし,腺筋症病巣から腫瘍が筋層に浸潤している所見はなかったため進行期はIA期とした.腹水細胞診が陽性であったため術後補助化学療法を行った.子宮体癌が腺筋症内に進展する場合,筋層浸潤の有無や程度について判定に苦慮する.一般的には腺筋症からの筋層浸潤がなければ筋層浸潤なしと判定されることが多いが取扱い規約では定められていない.胆囊でも同様の所見がみられることがあるが,胆囊腺筋症内に進展する上皮内癌は浸潤とはしないことが取扱い規約で定められている.予後との関連についても不明であり,術後補助化学療法が必要かどうかについてもよくわかっていない.腺筋症内に進展する子宮体癌の診断および治療について今後さらなる検討が必要であると考えられた.

Key words:endometrial adenocarcinoma, adenomyosis, myometrial invasion, MRI

関東連合産科婦人科学会誌, 51(1) 57-62, 2014


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