帝王切開瘢痕部菲薄化を伴った続発性不妊症に対し腹腔鏡下子宮形成術を施行し分娩に至った一例

　関東連合産科婦人科学会会誌オンラインジャーナル

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【症例報告】
帝王切開瘢痕部菲薄化を伴った続発性不妊症に対し腹腔鏡下子宮形成術を施行し分娩に至った一例

本間　進^1）, 野村　奈央^1）, 新城　梓^1）, 中山　健^1）, 市原　三義^1）, 小川　公一^1）, 齋藤　裕^1）, 安藤　直子^2）, 岡本　紘子^3）, 近藤　哲郎^3）, 濱田　貴^4）
昭和大学藤が丘病院産婦人科^1）, 昭和大学横浜市北部病院産婦人科^2）, 昭和大学病院産婦人科^3）, 新宿レディースクリニック^4）

　近年の帝王切開率の上昇に伴い，帝王切開瘢痕部が菲薄化した症例をしばしば認める．多くは無症状であるが，過長月経など月経トラブルを生じたり，続発性不妊の原因になるとの報告がみられる．また，妊娠が成立した場合は子宮破裂，癒着胎盤といった重篤な合併症が懸念される．今回我々は帝王切開瘢痕部菲薄化が原因と考えられる続発性不妊症に対して腹腔鏡下子宮形成術を施行し，分娩に至った症例を経験したので報告する．症例は26歳1経妊1経産．帝王切開分娩後，3年間の不妊および過長月経を主訴に来院．超音波にて帝王切開瘢痕部の菲薄化が疑われMRIを施行した所，子宮筋層は離解している状態が推測された．子宮卵管造影，子宮鏡では瘢痕部の状況は確認できなかった．他の不妊スクリーニング検査でも異常所見は認めなかった．続発性不妊症加療，妊娠時の合併症回避目的にて腹腔鏡下子宮形成術を施行した．膀胱剝離が困難であり腹腔鏡補助下にて創切除を施行，吸収糸で創部を再縫合した．病理組織検査上，摘出した創部の子宮内膜組織の欠損が確認された．術後は創部癒着予防目的にて3か月間ピルを投与，ピル投与終了3か月後に妊娠が成立した．妊娠経過中創部の菲薄化も認めず妊娠37週予定帝王切開分娩に至った．帝王切開瘢痕部菲薄化症例の不妊症に対し上記手術を施行することは子宮環境を改善し，さらに妊娠時の重篤な合併症回避が可能となるため非常に有用と考える．

Key words：secondary infertility, cesarean section, uterine deep scar, laparoscopic repair, pregnancy

関東連合産科婦人科学会誌, 51(1) 81-85, 2014

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