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【症例報告】
糖代謝異常合併妊娠に対する,持続グルコースモニターを用いた血糖管理について
尾池 妙, 笠原 慶充, 阿美 寛人, 糸賀 俊一
利根中央病院
糖代謝異常合併妊娠では,妊娠中の厳密な血糖管理が求められ,しばしばインスリン投与が必要とされる.インスリン投与量の増減には血糖推移の把握が不可欠であるが,自己血糖測定では測定時の血糖値を知るのみであり,その後の血糖値の上昇または下降を推察することは困難である.また,夜間低血糖や食後の急峻な高血糖に関しても捕捉困難な場合がしばしば経験される.今回我々は糖代謝異常合併妊娠6例に対して,持続血糖モニターを用いた血糖測定を行った.糖代謝異常合併妊娠の内訳は妊娠糖尿病5例,2型糖尿病合併妊娠1例であった.提示する症例では,尿糖を繰り返すことから妊娠24週で75 g OGTTを行い,妊娠糖尿病の診断に至った.妊娠27週で持続血糖モニターを施行後,自己血糖測定を施行しながらインスリン投与を開始し,適宜増量を行っていたが食後血糖の改善が思わしくなく,妊娠31週で再度持続血糖モニターを施行し,6分割食の導入とインスリン調整を行った.Large for gestational ageが懸念されたが児発育は次第に緩やかとなり,分娩時の血糖管理を鑑みて妊娠37週に計画分娩とした.周産期合併症を認めず経腟分娩に至り,児は出生後の低血糖や呼吸障害を来すことはなかった.持続血糖モニターは一日を通しての血糖変動等を把握することができ,安全で早期のインスリン導入・調整に有用であると考えられた.
Key words:continuous glucose monitoring, self monitoring of blood glucose, gestational diabetes mellitus
関東連合産科婦人科学会誌, 51(1)
119-124, 2014
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