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【特集】
絨毛性疾患は無くならない(1)
田中 忠夫
東京慈恵会医科大学・名誉教授
絨毛性疾患はtrophoblastの異常に端を発する疾患であり,胞状奇胎や絨毛癌をはじめとする6つの疾患の総称である.近年,絨毛癌はもとより胞状奇胎でさえも遭遇する機会があまりないようで,まるで稀少疾患のように,それらの取り扱いに苦慮・難渋することも少なくないと思われる.折しも,2011年には診療の指針となる「絨毛性疾患取扱い規約」が全面的に見直され,国際的基準にも準じた新しい分類・定義・診断基準に改訂された.これを機会に,発生学的にも,免疫学的にも,そして腫瘍学的にも特殊な性格を持つ絨毛性疾患について改めて考えてもらいたいと思う.「妊娠」あるところ絨毛性疾患あり,頻度は少ないとは言え,決して無くならない疾患である.その発生はヒト以外にはほとんど報告されておらず,臨床的・基礎的研究対象としても興味深いのではないだろうか.本稿では若い先生方に知っておいてほしい絨毛性疾患に関する情報を2回に分けて概説するが,今回は絨毛性疾患の発生数について,日本産科婦人科学会誌には載っていない地域登録データをもとに解説する.
Key words:gestational trophoblastic disease, regional registration system in Japan
関東連合産科婦人科学会誌, 51(1)
133-136, 2014
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