|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【スポンサードワークショップ】
女性外来における月経前症候群の診療のコツ
小田 瑞恵
こころとからだの元氣プラザ
近年,産婦人科外来診療を主体とした,いわゆるオフィスギネコロジーという形態が増加している.また,一般女性があらゆるライフステージにおける女性のヘルスケアに大きな期待を寄せているという事実は,約10数年前の「女性専門外来」ブームでも明らかである.オフィスギネコロジーの守備範囲は予防医学も含めて広範であるが,月経に関連する受診は非常に多い.当科は女性専門外来としてオープンし月経前症候群(PMS)患者も多く,日頃外来で心がけている診療ポイントについて報告する. 月経前症候群(PMS)は月経3〜10日前の黄体期に精神的症状・身体的症状を呈するもので,月経の発来と共に症状が減退する月経随伴症状である.軽症のものを含めれば月経のある女性の80%に認められるが,日常生活に支障を来すのは3〜10%である.また,著しい精神的症状を伴うものを月経前気分不快障害(PMDD)と呼ぶ.近年,女性の健康に対するメディアの関心が増大し,一般女性におけるPMSの認知度も広まり,女性外来やオフィスギネコロジーの現場ではこれを主訴に受診する患者も増加している.しかし,PMSを病気と認識せずに受診していない女性や,他科で不定愁訴として加療されるケースもある. PMS患者自身が疾患に対する理解を深め,PMSと付き合っていくという認識を持ってもらうことは治療を円滑にするために重要な要点である.そのため,初診時は一定の時間をかけカウンセリングをするのが望ましい.一方,円滑な外来診療という視点ではカウンセリングに費やすことのできる時間には制限がある.診療時にPMSアンケートを活用する,看護師によるサポートなど医療サイドの体制も必要である. 治療法は軽症にはカウンセリング,生活指導が基本であるが,中等症以上では薬物療法の併用も必要となる.主な薬物療法は漢方薬,抗うつ薬,OCなどが用いられる.薬物療法は単独,併用など様々なアプローチがあるが,精神症状の程度を見極めながら,患者の希望も反映しながら選択すると受け入れも良い. しかし,精神疾患の黄体期後半の増悪現象とPMDDの鑑別は容易でないケースもあり,心療内科や精神科との連携も重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
223-223, 2014
|