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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【次代を担う産婦人科医のためのセミナー3】
胎児の心臓をどうチェックする?
〜超音波の見方・使い方〜


与田 仁志
東邦大学医療センター大森病院新生児科


 私が小児科医として胎児超音波検査に従事するきっかけとなったのは,産婦人科の先生からの胎児の心疾患についての相談でした.出生後に病児の治療をする立場上,胎内の病児の病態・疾患を見極める必要があるため,自らプローベを握り情報収集を始めました.小児科医としては出生後の丹念な診察で症状が悪化する前に疾患を見つけてあげて治療するという醍醐味もありますが,重症な心疾患でも診察で見逃されるリスクがあり,胎児診断の有用性もここにあると思います.当初,産婦人科の先生とは違う視点で胎児を見ていると思いましたが,現在は新生児科を研修した産婦人科医も多く,小児科医の気持ちがわかる産婦人科医が増えてきたのは喜ばしいことです.
 当日はまず,@先天性心疾患について,胎児心エコー検査ガイドラインのうち,スクリーニング検査で求められる,四腔断面の基本的なみかたを供覧します.基本ではありますが最も情報量が多くないがしろにできません.次に同じ横断面のthree vessel viewのみかたを供覧します.すなわち,連続的にみると流出路と言われる心室と大血管との関係も見えてきます.また,通常では見ない長軸(矢状断面,前額断面)の見方も確定診断では必要になります.出生後の治療計画・術式,時期,予後などを知る必要もありますので主な心疾患について解説します.A胎児不整脈については頻脈性・徐脈性不整脈ともに産婦人科医が通常判読する胎児心拍モニターとは全く異なる見方が必要で,Mモードやドプラエコーでの評価の仕方を紹介します.B心疾患を合併する染色体異常については胎児期に異常に気づくことの多い18トリソミーを例に挙げ,胎児所見とともにその自然歴や治療効果について小児科医としての私見を述べます.
 現在所属する東邦大学新生児科では平成22年度から胎児超音波外来を新設しこのような胎児期から出生後の治療まで一貫して,新生児科医がかかわる医療体制で行っております.データから言えることは,紹介元は院内外を問わず,身体部位別でみると心臓病の診断に最も苦慮している現状があります.新生児側から見るとどのような疾患が生後緊急処置を要するのか,どのような手術がいつごろ必要になるのか,PGE1が必要なのかの説明も必要とされます.疾患によっては小児外科や心臓外科,脳外科,麻酔科などなど複数の診療科にまたがって医療チームを組む必要がある場合もあり,その際,新生児科医や産科医はそのコーディネート役も担います.さらに医師以外の助産師,看護師,臨床心理士,カウンセラーなど多職種の役割は非常に大きく,その協同も求められる分野ででもあります.まだまだ,未開拓で態勢を整えるに至っていない現状ですが,この点についても一緒に考えていければと思います.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 228-228, 2014


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