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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション1】
化学療法中に動脈血栓をきたした卵巣癌の1例
白石 絵莉子1, 竹中 将貴1, 秋山 由佳1, 岩田 侑子1, 竹川 悠紀子1, 井上 桃子1, 飯倉 絵理1, 田中 邦治1, 鈴木 啓太郎1, 礒西 誠二1, 岡本 愛光2
東京慈恵会医科大学附属第三病院産婦人科1, 東京慈恵会医科大学産婦人科2
担癌患者は血液過凝固状態にあり,血栓症の発症リスクが高いが,大部分は深部静脈血栓であり,下肢動脈血栓をきたす症例は極めて稀である.今回我々は,完全手術後化学療法施行中に,下肢動脈血栓を発症した症例を経験したので報告する.症例は48歳,3経妊2経産 卵巣癌疑いで当院紹介となった.単純子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節郭清,大網切除術施行.術後残存腫瘍はなく,病理診断はpoorly differentiated adeno carcinoma(G3),pT3aN1M0,stageIIIcであった.術後化学療法として,dose-dense TC療法(T:70mg/m2,C:AUC5)を開始したが,1コース終了後,左下肢違和感および冷感,歩行後の疼痛を訴えるようになった.採血にて,D-dimer 11.4μg/mlと線溶系亢進を認め,造影CT検査により左下肢動脈内血栓を認めたため,血栓除去術およびステント留置術を施行した.術後dose dense TC療法を再開したが,術後91日目,造影CT検査にて骨盤内に再発病変を認めたため,dose dense TC refractory症例と判断し,腫瘍摘出の方針とした.再発腫瘍は径7cm大で直腸前面に位置しており,腸管への浸潤を認めた.腫瘍切除(一部直腸合併切除),ストーマ造設術を施行.術後2次化学療法を予定していたが,急激な多発転移とともに,全身状態が悪化し,初回手術から約5カ月後に死亡した.本症例は術後補助化学療法施行中に下肢動脈血栓症を併発し,化学療法抵抗性のため急激な転機を辿った一例である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
240-240, 2014
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