|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション1】
深部静脈血栓症を発症したが在宅ヘパリン療法を行い生児を得た巨大子宮筋腫合併妊娠の1例
坂元 崇洋, 曽山 浩明, 吉田 純, 夏山 貴博, 澁谷 剛志, 松浦 寛子, 中西 篤史, 精 きぐな, 笹 秀明, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】深部静脈血栓症を発症したが在宅ヘパリン療法を行い生児を得た巨大子宮筋腫合併妊娠の一例を経験したので報告する.この報告に関して倫理上のインフォームドコンセントを患者から得ている.【経過】35歳女性,0経妊0経産,身長161cm,体重60.0kg,BMI 23.1.前医で多発筋腫,左下肢リンパ浮腫を指摘され妊娠4週で当院へ初回受診した.妊娠7週で左下浮腫の悪化・疼痛が出現し当院へ救急搬送された.血液検査でFDP121mg/dl,D-dimmer74.1ug/mlと著明高値を認めた.臨床症状からも深部静脈血栓症を疑われたが造影CT検査も施行できず,下肢所脈エコー検査を施行したところ左浅大腿静脈〜膝窩静脈,腓骨静脈,ヒラメ静脈に充満するように血栓を認めた.以上より深部静脈血栓症と診断し,ヘパリン持続点滴とベット上安静で治療を開始した.その後,MRI,下肢エコーで器質化した壁在血栓を認めるのみであり,妊娠22週で退院した.以降は,在宅管理目的でヘパリンカルシウムの自己注射を開始した.また妊娠33週に骨盤MRIを施行し子宮筋腫を再評価したところ,増大傾向であり経腟分娩は困難と判断し選択的帝王切開術の方針となった.自己血貯血を実施し,妊娠37週1日に帝王切開術を施行した.新生児所見:体重2596g,男児,Apgar score1分後8点,5分後9点.術直後に造影CTを施行したが肺塞栓症,深部静脈血栓症は認めなかった.その後,ワーファリンの内服を開始し,Pt-INR1.5〜2.5へコントロール中であり術後経過良好である.【結語】妊娠中は凝固能の亢進や悪阻,また肥満や高齢出産で血栓症のリスクが高まるとされる.また妊娠中は施行できる検査や治療が限られており,管理に苦慮することが考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
241-241, 2014
|