|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション2】
急速に進行した子宮体部大細胞性神経内分泌癌(LCNEC)の1例
佐藤 佑, 大原 樹, 朱 丞華, 近藤 亜未, 吉田 彩子, 近藤 春裕, 戸澤 晃子, 田中 守, 鈴木 直
聖マリアンナ医科大学産婦人科
【緒言】子宮体部を原発とする大細胞性神経内分泌癌(以下,LCNEC)と診断した稀な一例を経験したので報告する.【症例】63歳,4経妊3経産.下腹部痛,腹部膨満感,血尿を主訴に当院受診.臍下まで達する腫瘤を触知した.MRIで子宮内腔を占拠する径11×9×13cmの巨大骨盤腫瘤を認めた.腫瘍内部に拡散制限を認め,悪性腫瘍が疑われた.LDH 1,071 U/L,CA125 58.4 U/mlと高値であり,子宮肉腫疑いにて手術目的に入院となった.術中所見では,子宮は双手拳大に腫大し被膜破綻は認めなかった.子宮底部に大網が付着し,一方両側付属器は正常範囲内の所見であった.以上より,腹式単純子宮全摘出術+両側付属器摘出術+大網切除術(完全手術)を施行した.術後の病理組織検査にて,壊死を伴うN/C比の高い腫瘍細胞の増生がみられ,一部でロゼット形成を伴っていた.免疫染色によりsynaptophysin(+),NSE(+)であり,LCNECと診断した.また,手術進行期分類からpT3aN0M0,stageIIIAと診断し化学療法予定とした.術後約1ヶ月で発熱,肛門周囲の違和感を認め救急受診.精査にて骨盤内病変,リンパ節腫大,腹膜播種を認めた.再発と判断し緊急入院.予定していた化学療法(CPT−11+CDDP)を1コース施行し退院とした.約2週間後,腹部膨満感にて再度救急受診.CTにて腹腔内播種病変増悪,大量腹水を認めた.その後腎機能増悪,全身状態不良にて化学療法継続困難となり,初回治療開始時より約3ヶ月で永眠された.【結語】子宮体部を原発とするLCNECは極めて稀な疾患であり,治療法は確立しておらず,予後不良とされる.本症例でも急速な進行をきたし,治療困難であった.今後も効果的な治療法の検討が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
243-243, 2014
|