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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション3】
83歳の高齢者に発症したgynandroblastomaの1例
大藏 慶憲, 梶山 明日香, 平田 麻美, 須藤 乃里子, 若菜 公雄, 若林 晶, 久保田 俊郎
東京医科歯科大学産婦人科
【緒言】Gynandroblastomaは,Call-Exner bodyをもつ顆粒膜細胞の胞巣及び,精巣型の組織を模倣する腺管構造が同一卵巣内に各々10%以上の比率で混在する稀な卵巣腫瘍である.若年者での報告が多いが,今回83歳の高齢者に発症したgynandroblastomaの1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.【症例】83歳,3経妊2経産,不正性器出血を主訴に近医を受診した.MRIにて内膜肥厚を伴う子宮と,6.5cm大の辺縁不正な右卵巣充実性腫瘍を認めた.内分泌検査ではE2 70 pg/ml,FSH 30.7 mIU/ml,テストステロン0.51 ng/mlであり,ホルモン産生腫瘍が疑われた.開腹手術の際に迅速病理組織診断を行い,顆粒膜細胞腫及び莢膜細胞腫成分の両者が混在する性索間質性腫瘍の診断であったため,単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網部分切除術を施行した.術後病理組織診断では,中分化相当のSertoli-Lydig細胞腫瘍が40%程度,若年型顆粒膜細胞腫と莢膜細胞腫の中間的な像が60%程度の割合で混在するgynandroblastoma(pT1aNxM0)の診断であった.術後12か月現在再発所見を認めていない.【考察】Gynandroblastomaはestrogen及びandrogenの分泌される割合で多様な臨床像を示す.本症例はestrogen優位の臨床像を示した.症例数は少ないものの,若年者に多いとされ,過去に60歳代までの発症報告はあるが,本症例は83歳という高齢であり極めて稀であると言える.境界悪性腫瘍に分類され,予後は良好とされ後療法は一般的に必要としない.一方で10年後の再発報告もあり,長期的な観察が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
246-246, 2014
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