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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション3】
癌性心嚢液貯留による心タンポナーデに対して心嚢内シスプラチン投与がQOLに貢献した卵巣癌再発の1例
田川 実紀1, 大和田 倫孝1, 梅崎 光1, 厚木 右介1, 上小牧 憲寛2, 黒田 一3, 松田 義雄1, 佐藤 郁夫1
国際医療福祉大学病院産婦人科1, 国際医療福祉大学病院循環器内科2, 国際医療福祉大学病院病理診断科3
【はじめに】卵巣癌において,癌性腹膜炎や癌性胸膜炎による腹水,胸水の貯留はしばしば遭遇するが,癌性心膜炎による心嚢液貯留は比較的稀である.われわれは癌性心嚢液貯留による心タンポナーデに対して,排液後に心嚢内へのシスプラチン投与がQuality of Life(QOL)に貢献した卵巣癌再発の1例を経験したので報告する.【症例】57歳,2経妊2経産の主婦.卵巣癌の診断で,2009年11月子宮,両側卵管・卵巣,大網摘出術および傍大動脈・骨盤リンパ節郭清術を実施した(完全腫瘍切除).病理結果は漿液性腺癌で,病変は左卵巣および卵管に存在し,リンパ節転移が多数確認された(進行期IIIC期).術後にTC(パクリタキセル+カルボプラチン)療法を6サイクル実施し経過観察とした.2012年2月左鎖骨上窩リンパ節に再発を来たし,TC療法を4サイクル実施した結果,リンパ節は縮小した.同年12月同リンパ節が再腫大し経過をみていたところ,2013年3月突然呼吸苦を発症した.心エコーおよび胸部CTで心嚢液の貯留が確認されたため,心嚢液を約1000ml排液後にシスプラチン20mgを心嚢内に局注した.心嚢液には癌細胞が認められた.その後,ジェムスタビンなどを投与したが奏効せず,また7月より胸水貯留が確認されたため胸水除去,胸膜癒着術を実施した.しかしながらあまり効果はなく,同年10月死亡した.なお,心嚢液の再貯留は最期までなく,心嚢内へのシスプラチン投与はQOLに貢献したと考えられた.【結論】卵巣癌の再発で呼吸苦を来たした場合には癌性胸水ばかりでなく,心タンポナーデの可能性も念頭に置いたうえで,迅速な対応が要求される.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
247-247, 2014
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