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<< 学会誌へ戻る 【緒言】卵巣子宮内膜症に合併する卵巣腫瘍として類内膜性腫瘍と明細胞性腫瘍が知られている．類内膜腫瘍は大多数が悪性であり，境界悪性は稀である．今回，卵巣子宮内膜症に合併した境界悪性類内膜腫瘍の一例を経験したので，当院の卵巣癌のデータの検討もふまえ報告する．【症例】36歳，2経妊，2経産．以前より子宮内膜症を指摘されていた．貧血症状を主訴に前医受診し，MRI検査で子宮腺筋症と右卵巣腫瘍を指摘され当院紹介となった．受診時，経腟超音波検査にて右付属器に内部に血流豊富な充実成分を伴う5cm大の嚢胞を認めた．腫瘍マーカーはいずれも陰性であった．MRI画像で右付属器の嚢胞部分はT1強調像で淡い高信号を示し，出血成分と思われ，その内部に表面に凹凸が著明な結節成分を伴い，PET−CT検査で同部位に僅かな集積を認めた．以上より，卵巣内膜症性嚢胞の癌化を考え手術施行した．右卵巣は5cm大で，被膜破綻を認めなかった．病理組織診断では線維性間質を背景に内膜腺類似の腺管が複雑に分岐しているが，明らかな間質浸潤は認められず，細胞の異型も軽度で，境界悪性類内膜腫瘍に矛盾しない所見であった．【考察】2004年〜2014年2月現在に当院で診断された卵巣癌は218件であり，悪性164件（75％），境界悪性54件（25％）であった．境界悪性腫瘍のうち，上皮性が83.3％を占め，多くは粘液性（66.7％）であり，漿液性（22.2％）がそれに続いた．境界悪性類内膜腫瘍はこの10年間で3例（6.7％）のみであり，非常に稀有な症例であった事を再認識した．平均年齢は境界悪性粘液性腫瘍が45歳，境界悪性漿液性腫瘍が47.3歳であるのに対し，境界悪性類内膜腫瘍は38歳と比較的若い傾向があった． 関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 248-248, 2014 |
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